新バージョンの主たる目的はWindows Vistaでの採用で話題となったJIS X 0213:2004に対応し、文字種が増えたことでしょう。
これに加えて、重要な変更はライセンスの利用条件が緩和されたことです。
Ver.2までは
フォントのデザイン変更を認めておりませんとのことでしたので、派生フォントを作ることや、特にそれを再配布することが困難でした。
今回このライセンスが緩和され改変フォントを再配布可能となっています。
オープンソース・ライセンスのIPAフォント公開,改変フォントの再配布が可能に:ITpro
IPAフォントが2009年4月中旬にもオープンソース・ライセンスへ,改変と再配布が自由に:ITpro
この「IPA Font License Agreement v1.0」はOSIにも認定されたれっきとしたライセンスですが、伝染性の観点からGPLやCreative CommonsのCC BY-SAに近いもののようです。
伝染性といっても、文字集合一式のフォントフェースが揃ってなんぼのフォントですので、同一機能の派生フォント集に同一ライセンスが適用されるのはそれほどおかしな話ではないでしょう。触っただけで(ちょっと小さいライブラリをリンクするだけで)感染するGPLのプログラム世界とはやや趣は異なります。
非営利団体が利用促進するためであれば、商用利用も多いフォントはBSD風(CC BY風)のライセンスにすれば良いのに、とは思いますが。
とはいえ、和文フォントの世界にもようやくOSSの風が流れてきたことは歓迎です。
フォントは文書を書く・読むという極めて根源的な活動において必須の要素でありながら、和文においては自由に使えるものが非常に少数です。
欧文フォントは何千種類ものフリーものが出回っていますが、和文フォントではプロプライエタリを含めてメジャーなものは2系統しかないと言っても過言ではありません。
一つはTB系フォント、もう一つはHGです。
それぞれ、基本的に明朝とゴシックしか持っておらず、それぞれ英数字他においてプロポーショナルか否かのバリエーションがある程度です。
定かではありませんが、IPAフォントはTB系フォントのようです。
Wikipediaの古い記述では「製作メーカーは表示されていないが、タイプバンクゴシック・タイプバンク明朝に酷似しているためにタイプバンク製であると言われている。」とありました。
もう一つのHG系フォントはリコーが作成したものです。
WindowsにもHG ゴシック等が標準で入っていますが、これはリコーがMSにライセンスしたものです。
Sun(もうすぐOracle)のStarSuite(OpenOffice.orgの商用版。ただしグーグルから無料で入手可能)に含まれるHG ゴシックB Sun等もこのHG系列です。
以上、これだけです。
# 異論はあると思いますが。
和文でフォントが少ない大きな理由の一つは、文字数が多く作成コストがかかるからでしょう、もちろん。
もう一つの理由は、先に触れたライセンスの問題でしょう。
プログラムの世界でOSSが成功し、巨大なプログラムを多数世に排出意しているように、今後はフォントも多数世に排出されることを期待します。
参考
商用サイトでも無料で利用できる日本語のフリーフォント集 | コリス
欧文フォント一覧 [フォント ふぉんと font .com]
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